女性エンジニア推進と自分たちが身近でできること 〜職場やコミュニティで孤立を生まないために考えてみた〜
こちらは 東葛.dev Advent Calendar 2025 の 24日目の 記事(ページ) です。
ちょっと女性の私でも、女性エンジニア推進というのをあまりよくわかってないところがあるので、掘り下げてみました。
みんなで雑談な感じで話し合ってみましょう٩( ᐛ )و
※ この記事は、誰かを責めることや特定の属性を批判することを目的としたものではありません。
現場で起きがちな「構造」を言語化してみたものです。
お気軽にコメントしながらご覧ください。
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前編: 女性エンジニア推進という社会的背景
女性エンジニア推進のメインミッション
割と、差別やハラスメントがセンシティブとなってる現代。
けれど、
「女の子は大学に行かなくていい」「理系や情報系は向いていない」
そういった価値観が、家庭や地域、進路指導の場などで、今も根強く残っている社会的背景があります。
正直、自分自身はそうした環境ではなかったため、強く意識したことはありませんでした。
ただ、現実には今も、そういった言葉をかけられている人が少なくないことが、統計や聞き取り調査などで示されている現状です。
誰もが親や周囲からそう言われたときに、
「私は理系を学びたい」「情報系の職業に就きたい」
「マイノリティ(少数派)になってもこの学部に進みたい」
と、はっきり主張できるわけではありません。
そうした無意識の制限が、
結果として 女性の選択肢や機会を狭めてしまっている そういう面は今の社会で確かに存在しています。
進学、就職、転職、昇進といったそれぞれのタイミングで
「無意識に女性の機会を狭めてきた構造を見直していこう」。
女性エンジニア推進の中では、そういった考え方がひとつのミッションとして語られることが多いです。
※ ちなみに私自身は、商業高校や商業科(または経営・経済学部)で情報処理を学んでいたのですが、
工業系の情報科は男性が多いのですが、商業系の情報科は女性が多かったりします。
「一応そういう道もありますよ」という補足として書いておきます。
yamanoku.icon 理系に進みたかったけど、大学の女子トイレが汚かったから諦めたってのを聞いたことがあります
女性エンジニア推進と将来
今はAIによる仕事の転換期です。ただ今後も就職や仕事はエンジニア界隈は長く売り手市場だと予想されます。
女性が理系や情報系に参入していくことは社会の未来にとても現実的なものです。
女性エンジニアと管理職
ちなみに、女性エンジニア推進の活動自体は、
「すべての女性が管理職やハイキャリアを目指すこと」を
前提としたものではないです。
ただ、一方で、女性のロールモデルが可視化されたり、管理職に進出する女性が増えることは、
「女性エンジニア推進が進んでいるかどうか」を測るひとつの指標として扱われることが多いです。
yamanoku.icon 参考までに エンジニア女性採用比率30%への道のり。未来を変える“出会い”をつくる|STORES note
ただ、こうした指標が示すものと、「実際の働き方や継続のしやすさ」は、
必ずしも一致しているとは限らない ということも注意が必要です。
女性エンジニア推進をするにあたって、エンジニアという体力面での課題
もし、女性エンジニア推進というものが進んだ時、課題と見られているものが個人的にはあると思っています。
「エンジニア自体が、現在かなりの体力仕事であるという事実」です。
平日5日 * 1日8時間 の<基本的な労働>に加えて、当たり前に<残業>と<時間外の勉強>をしないと仕事に就いていけないという現実があります。
これは現在、多くの男性にとってもかなりの負荷を持っています、男性よりは体力の少ない女性では尚更です。
また、子育てや介護などのある家庭にとっては、家庭としていたって当たり前のことをしてるだけで、<基本的な労働>や<残業>、<時間外の勉強>がフルにはできなくなり、エンジニアとしてついていけなくなる現実があります。
この面は将来的にも、健全なライフスタイルやインクルーシブな社会を築く上で、個人的に日本のエンジニアという職業の大きな課題だと思っています。
既存の女性エンジニアも含めた女性エンジニア推進
ちなみに、メインミッションが「女性が新規に進める道を増やす」というものですが、既存の女性エンジニアも含めた環境整備も女性エンジニア推進の文脈の中に含まれています。
「女性エンジニア推進」という活動がある中で、誤解をしないでいただきたいのが
現在いる女性エンジニアが低スキルだという話ではない というものです。
ただ、既存の社会や職場・コミュニティなどの環境を整えることで
「今いる女性エンジニアもより成長しやすくなる、活躍しやすくなる社会を目指そう」、という考え方も女性エンジニア推進の活動の一つになっています。
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後編: 職場において女性(マイノリティ)が孤立しやすくなる構造
前提の環境: マイノリティから見える職場などの環境
※ 誰が良いとか悪いとかではなく、こういうことが女性(マイノリティ)から見た時、起きてますよという話です
1. 人間関係を築けない(= 気軽に相談などのできる機会の欠如)
職場の環境において、マジョリティ(多数派:ここでは男性)とマイノリティ(少数派: ここでは女性)がいた時、
男性(マジョリティである側)がこう思ったり行動することはないでしょうか?
「女性(マイノリティ)にこういう扱いしちゃダメだよな」「女性(マイノリティ)をランチとかに気軽に誘っちゃダメだよな」
と思い、女性だけ気軽に話しかけない、昼食や退職後の飲み会などにも誘わない。
確かに、場所によっては性別上行きにくい場所もありますし、その基準は女性側も人それぞれの性格によってまちまちです。
しかし、そもそも当たり前のように常に誘われない、話しかけられないことで、女性が孤立を深めるケースも現実には多いです。
それによって 何か悩んだり起きた時に、気軽に相談できる人間関係を作る機会 をなくしていくことも多くあります。
これは女性に限らず、人数が少ない側(マイノリティ)が職場にいる場合にも起きやすい現象です。
2. 文脈依存、関係依存の話がわからない
また、マジョリティ側(多数派: ここでは男性)が、非公式の飲み会や後輩の相談に乗ってなどの場で出たことが、社内のチームMTGの場で「決定事項」「すでにみんなに共有した事項」として出ることも多くあります。
マイノリティ側(少数派: ここでは女性)の知らない話で仕事に差し支えるので、聞き方を考慮して聞くのですが、
「あれ、いなかったっけ?」と言われるのみで、一度だけでなく、頻繁に同じ方法で会議の場に出ることが少なくありません。
構造自体は変わらずその都度マイノリティ側が聞くということが起こり、常に疲労と孤独感を強くすることも多くあります。
これは女性に限らず、マイノリティ側が「リモート勤務」だった場合などにも起こります。
yamanoku.icon わかりが深い
※ これは私自身が約8年間、複数の職場で繰り返し経験してきたことでもあります。
「分かるように話してほしい」と正式に相談したことも何度かありましたが、多くの場合は
「悪気はない」「そこまで考えていなかった」として、個別対応に留まり、構造的な改善にはつながらなかったものです。
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飲み会に誘われないのも、そういう場での情報が欠如するのも、
マイノリティ側(女性)が「自分で話しかければいいのでは?」という話もあります。
ただ、普段の人との会話を思い返してみるとこういう特徴はありませんか?
「今、なんの話をしている」の明示されてない、みんなでいつもやってるノリでのやり取り(文脈を省略した雑談)
すでに知ってる「この人はこういう人」「この人はすごいと冗談などのでノリでの尊敬」をやり取りする(関係性前提のノリ)
これはいつも馬鹿話をしてるだけ、これはいつも適当に愚痴をいってるだけで大袈裟な表現などを使う(意味より雰囲気重視の発話)
これは特に性別に依存した特徴ではありません。
こういった会話やノリを好む人は多くいます。
好む自体は問題ありません。ただ性格や好みなだけで、プライベートの身内で話す場合、ストレス解消やリラックスになります。
ただ、こういった場にマイノリティ(少数派)として、参加しようとすると「ノリがわからない」「なんの話をしているのかわからない」「自分が参加してもいいのかわからない」ということが起こります。
これはマジョリティ(多数派)やマイノリティ(少数派)の問題でなく、
「意味はあとから感じろ」「ノリを察しろ」「わかる人だけ参加して」
という場の会話設計が閉じている ことに問題があります。
特にITエンジニアの場合、男女問わずオタク気質の人も多いので、
「他の人にわからない自分たちだけがわかる内容でわかり合う」
といった 仲間意識を作るための会話 が好きな方も多くいるように感じます。
問題なのは、そういった会話をすることでも、そういった会話を好むことでもありません。
性別に関わらずそういう会話は、人は誰かと当たり前にするものです。
ただ、マジョリティ・マイノリティの存在する場では、自分たちのプライベートの場ではなく、共有の場として扱う必要があります。
私の職場での体験談:マイノリティのケア役の負荷の集中
1. 職場で女性が泣き出した場合の対応について
職場で女性が仕事中に泣き出した際、
「別の女性に声をかけて対応してもらおう」と判断する男性がいるケースがあります。
ただ、正直なところ、泣き出した場面で声をかけること自体や、
フォロー役を任されることが常に適切とは限らないと感じています。
「解決のアドバイスではなく、話を聞いてほしい」
「男性と女性は違う」といった考え方があるのも理解はしていますが、
仕事中に泣き出すほどの状況であれば、単なる傾聴だけでなく、業務上の調整や環境改善、人間関係の整理など、より構造的な対応が必要になる場合も多いと感じます。
また、泣き出した本人と日常的な業務上の接点がなく、仕事内容や得意不得意、置かれている状況も分からない状態で
「同じ女性だから」という理由だけで対応を依頼されても、実際にはできることが限られてしまうのが現実です。
同じ女性であることと、適切な支援ができることは必ずしも一致しません。
2. 新しく女性が参加した場合の対応について
また、新しく女性が入社・参加した際に、既存の女性に対して
「面倒を見てあげてほしい」
「何か悩んでいるみたいだから声をかけてあげて」
と依頼されることがあります。
しかし、普段の業務で接点がほとんどなく、仕事内容や状況も十分に把握していない中で、
複数の男性から同時にそうした役割を期待されることは、正直なところ負担が大きいと感じます。
これについて
「男性同士ではフォローし合っているのに、女性は同じ女性をフォローしないのは冷たいのではないか」
と言われることもありますが、
これはマジョリティ(多数派)とマイノリティ(少数派)の構造的な違いによるものだと考えています。
マジョリティ(多数派)の場合、声をかける人・相談に乗る人・フォローする人が分散しやすく、
負荷を分担する ことができます。
一方でマイノリティ(少数派)の場合、特定の個人に役割や責任が集中しやすく 、
「その人以外は関わらない」という状態が生まれがちです。
入社して間もない段階や、自分の業務で手一杯な状況で、
一人で他人の悩みを受け止め、解決し、継続的にフォローすることは、現実的ではないと感じています。
これは「女性の問題」ではなく、体制の問題
これらのケースは、女性の性格や意識の問題ではなく、
チームとしての情報共有やフォロー体制の設計の問題 だと感じています。
yamanoku.icon 激しく同意ですね。人や属性で変えるのではなく、全体を変えていかないといけない
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最後に
「女性枠」を置く理由
よく誤解されがちですが、女性枠の本質は、
数を増やすため
優遇するため
ではないです。
⭕ 孤立しやすい構造を中和するため
⭕ 負荷が特定個人に集中するのを防ぐため
⭕ 「いていい場所」を明示するため
になります。
だからこそ、女性枠を置くかどうかに限らず、
初参加者向けの導線を用意する
相談先や聞いてよい場を明示する
ケア役を特定の個人に固定しない
といった、構造的な改善が必要だと感じています。
どんな属性を持った人でも、
「みんなが話しやすく、参加しやすく、そして聞いてるだけでもいい場」
を一人一人が気にかけるのが大事なのかなと個人的には思っています。
私の個人の考えとしては
私自身は、
現在の「マイノリティ(女性)が変わらなければ」「マジョリティ(男性)が変わらなければ」
とは思っていません。
女性は「インポスター症候群になりやすい」「自信を持ちにくい」という話もありますが、
それは男性でもそういう人はいて、個人の性格の範囲だと思っています。
マジョリティ(男性)が内輪ネタが好きだったとしても、別に性格の問題だから普段は好きな人と話して盛り上がるのでいいと思います。
ただ、共有の場では、「悪意がなくとも、コミュニケーションによって排除されている人がいるので、一人一人が配慮していきましょう」ということなのだと思います。
もし今の社会でマイノリティ(女性)やマジョリティ(男性)の性格に影響を与えてるとしても、先に「場を整えること」で交流が生まれれば、後々少しずつその人なりのペースで改善されていくことだと思っています。
今必要なのは、感情の話ではなく設計の話 だと私は思っています。
最後に問いを...
みなさんは、どんな場だったら、
「話してもいいし、聞いてるだけでもいい」
自分がマイノリティ(少数派)になった場合も「ここは自分も参加していいのかな」
と感じられると思いますか?
※ 感じたことや違和感でも大丈夫なので、気軽にコメントもらえたら嬉しいです
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コメント欄
※ ちなみに、この記事は「女性がマジョリティ(多数派)での職場でマイノリティ(男性)に起こること」と読み替えることもできます
yamanoku.icon 保育の現場とかは逆ですよね
yamanoku.icon あと授業参観とかも今はパパが参加することも増えていますがママのほうが多い状況というのはまだ変わってないですね
kouno.icon < ロールモデルがないから進みにくいというのはありますよね
mae616.icon < そうですね。
今の年齢になってしまえば、ロールモデルは必ずしも必要ではないと感じています(体調面の事情もあり、ある程度は割り切っています)。
ただ、若い頃は何か新しいことに挑戦しようとすると、必ず「自分がその会社での第一人者にならざるを得ない」状況になることがとても苦しかったです。
「お前なら、うちの会社で女性初の管理者になれる」「お前なら、女性でも長く働ける」
こうした言葉は、相手としては期待や評価のつもりだったのだと思います。ただ実際には、その期待に対して相談できる相手はおらず、参考にできる前例もありませんでした。
yamanoku.icon これなぁ…当人としては期待していることは嘘ではないけどその後のフォローがないと投げっぱなしなんだろうなと感じちゃうことはある
また、その道以外にどのような選択肢があるのかも見えにくく、「進む」か「諦める」かの二択のように感じてしまい、精神的な負荷はかなり大きかったです。
ロールモデルがいないというのは、単に目標が見えないということ以上に、失敗したときや別の選択をしたときのイメージが持てない、という点で苦しさがあったように思います。
kouno.icon < ありがとうございます、「自分がロールモデルになってしまう苦しさ(プレッシャー)」というのはあまり考えられていませんでした。同調するだけで特に答えのない応答になってしまって申し訳ないです......。
kouno.icon < とりあえずオンボーディング周りのテキスト、もう少しなんとかしますね。どうあって欲しいかの抜粋とか振る舞いについて、どこで誰に質問したら良いかなど少し追記しようかと思います。
ナイトウ.icon 東葛.dev は東葛のエンジニアコミュニティなので東葛という身内ノリと技術者知識という身内ノリを大事にするコミュニティで、これは絶対に変えたくありません
ナイトウ.icon だからといって東葛以外のお住まいの方やエンジニアではない方を排除する意図は一切ありません
ナイトウ.icon 身内ノリは絶対の悪いことではなくコミュニティにおいては必要なことな一つだと考えています
yamanoku.icon 同じコミュニティなのに特定の誰かにしか通じない身内ノリがつらいのであって、みんなが身内になれればそれは身内ノリにならないのではないかという説を提唱したい
ナイトウ.icon たしかに迎え入れることはしないといけないですね、それは意識できてなかったかもしれないです
kouno.icon 適時コンテキストをフォローしたり、「伝わらない人、楽しめない人がいるのかも」って考えを持って行動することが大事かなって思います。
身内ノリが良くないというより、身内ノリを身内でのみ楽しめる状態を継続するのが良くない?って考えています。「みんなが身内になれればそれは身内ノリにならないのではないか」ですね。
ナイトウ.icon 読ませてもらったのに特定の性別を優遇するような参加枠はやっぱり抵抗感がある、、、つらい
kouno.icon そういう意見があるのも多様性ですし、総意(コミュニティ)としてどうなるか(kouno.iconがどうするか?)は別として、ナイトウ.iconさん個人の気持ちも尊重したいです
ナイトウ.icon 女性に来てくださいって言うようにする
yamanoku.icon 自分は「フロントエンド」専任がいない状態で組織でのフロントエンド牽引をやることになったのですがそれもある種のマイノリティとしての扱われ方を感じることがあります
フロントエンドの解釈や理解も人それぞれなので期待値もズレやすい部分ではある
まぁそもそも評価軸なんかフロントエンドじゃなくても色々とありますが…
こうしたロールモデルの部分、この話とも通じるなと勝手に感じました(感想)
yamanoku.icon コミュニティは仕事上の組織とは別だけど、近い要素はある
なのでコミュニティでも疎外感を感じないようにしたいのはあります
とりあえず入ってみた、だけの人はあんまりそういうの感じてないかもしれない
たとえば自分が経験少ないReact TokyoやsveltejapanのDiscordにも在籍してますが東葛.devと比べると発言量はかなり低いです
でも「居てはいけない」とは感じてない
たぶんそれはインターネット上が自由だからだと思っている
ナイトウ.icon 女性比率は低いけど、リピ率や Discord 発言率は高いのでこれはアピールしたい、感謝
yamanoku.iconわかる
yamanoku.icon 昔、多様性について/yamanoku/多様性社会について思うことをいうの書いてみたのでご参考までに
これを書いた時からあまり価値観は大きく変わってないと思っています
あと/yamanoku/多様性のインフラコストは発生するという観点も必要かと思っている
mae616.icon👍
mae616.icon 私も一参加者として、少しだけ議論に参加なのです٩( ᐛ )و
東葛.devが「井戸端会議所」を掲げている以上、
身内ノリ自体は場の前提に含まれているものだと思っています。
だからこそ、
一般的な正解に寄せるよりも、
この場にとって何が自然かを考え続けることが大事なのかな、と感じています。